Creepypasta Wiki


DISABLED[]

私の好きなポケモンはプリンとプクリンです。小さい頃、プリンが現実世界にいたらなぁとずっと思っていました。プリンとプクリンのぬいぐるみも、何体も持っていました。

毎晩枕を囲ませていろんなぬいぐるみを抱きながら、愛情をそそいでいました。

プリンやプクリンが「うたう」を使うと相手ポケモンが寝付く確率が高くなると思って、一緒に小さな曲を口ずさんでいました。その頃の私はとても純真でしたが、正直言って、至福の時でした。

「大乱闘スマッシュブラザーズ」でもプリンを使っていましたね。皆が彼女のことを嫌っていても、私は全然気にしませんでした。

そんな私だから、『ポケットモンスター ソウルシルバー』が発売されたときも、プリンとプクリンを見つけることをちょっとした目標にしていました。私はプリンやプクリンが現れるのを待ちながらゲームを進めていきました。しかし、プリンは「サファリゾーン」という決まった場所でしか捕まえることができず、プクリンに至っては野生では出現しないことが分かりました。

その時はまだサファリゾーンをアンロックしていなかったので、愛しのプリンを捕まえるのは少しお預けになりました。

1週間ほどポケモンバトルと学業に励んだ後、ようやくサファリゾーンに入れるようになりました。私はさっそくサファリゾーンへプリンを捕まえにいきました。もちろん、簡単なことではありませんでした。最初の入場で8匹に遭遇しましたが、8匹とも捕まえることができませんでした。私のDS liteに「確率操作されてる!」と罵ったのを覚えています。

しかし翌日、私はついに最初のプリンを捕まえました。私とても嬉しくなり、彼女を「Juun」と名付け、早速パーティに入れました。パーティの他のポケモンと同じレベルまで上げるのには時間がかかりましたが、その価値は十分にありました。「うたう」を覚えさせたのも、あの素敵な曲を聴くと懐かしく感じたからです。

残念ながら、それからしばらく学校が忙しくなり、ゲームを中断せざるを得無くなりました。しかし私は暇を見つけてはゲームをプレイし、ポケモン達、特にJuunに愛してもらえるように努めました。

もう一つ問題がありました。まだプクリンを持っていなかったのです。進化させてJuunを失いたくないし、サファリゾーンは私を嫌っているので新しいプリンを捕まえることもおそらくできません。そこで私はすでに進化しているプクリンを直接手に入れようと考えました。しかし、先程述べたようにプクリンは野生では出現しません。そこで、通信交換で「性別・レベル問わず プクリン募集」と呼びかけました。当時はこだわりがなく、プクリンであれ何でも良いと考えていましたが、今となってはもっとこだわりがあってもよかったなと思います。新しいプクリンと引き換えに、こちらからはレベル6とは思えないほどのキレッキレの動きをする、素晴らしいワニノコを交換に出しました。

誰かがすぐにその良さをわかってくれて、交換を申し出てくれると思い、何時間も待ちました。もしかしたら、誰かがこのワニノコを育てたいと言ってくれるかもしれないと思い、何日も待ちました。 しかし、2週間近く経ってもまだ返事は来ませんでした。私はもう交換を諦め、Juunにつきのいし(プリンをプクリンに進化させるためのアイテム)を使おうと思っていました。

結局、念のために最後にもう一度確認し、誰も交換をしないのであればワニノコをもう一度引き取ろうと思いました。しかし、通信交換の画面には飛ばされませんでした。その代わり、進化時の音楽が流れ、モンスターボールが上画面から下画面へ飛んできました。そうして、私はついにプクリンを手に入れることができたのです。

さっそく通信画面を閉じて、新しい仲間に会いにいきました。メスのプクリンで、レベルは26。でも、名前はちょっと変でした。彼女の名前は「DISABLED」(無効の、無機能な という意味)。全部大文字で。なぜプクリンにそんな名前をつけているのか分かりませんでしたが、確かに私もポケモンにはもっと変な名前をつけたことがあります。名前を変えたかったのですが、人から送られてきたポケモンは名前を変更することができないので、諦めました。

ポケモンの情報も少し変でした。しかし、私はその詳細や意味についてはあまり深く考えませんでした。

性格は「ゆううつ」。

覚えている技は「うたう」のみでした。

「ゆううつ」という性格を他に見た覚えはありませんでしたが、「おくびょう」という性格は見たことがあったので、臆病な性格なら憂鬱になってしまうこともまぁあるだろうと思っていました。でも、どんな条件でポケモンの性格が「ゆううつ」になるか気になりますよね。それに、「うたう」しか覚えていないというのにも引っかかりました。前のトレーナーがもっと技を覚えさせてあげてくれれば良かったのですが、とにかく、バッグの中にわざマシンがあったので彼女に他の技を覚えさせました。

プクリンと一緒にバトルしてみたいという気持ちもあった私は、ボックスの中をチェックして、ほぼ間違いなく使えると思われるわざマシンを選びました。結局、「めざめるパワー」、「いばる」、「だいばくはつ」にしました。私は近くの草むらで当てもなく歩き回り、野生のポケモンと戦闘を行おうとしました。

しばらく歩き回っていると戦闘BGMが流れ、野生のポニータが飛び出して来ました。より確実に勝利するために、「たたかう」を選んで「うたう」を使ってみました。しかし、技は失敗しました。

まあ、「うたう」がいつも成功するとは限らない(55%)ことは知っていたので、特に何も考えませんでした。

ポニータは 「しっぽをふる」を使って来ました。かわいらしく、技もぼうぎょが下がるだけなので全く痛くはありません。

再び私のターンになったので、今度は「めざめるパワー」を使ってみました。ちゃんと技が当たるのか確認したかったからでした。今度はちゃんと命中しましたが、ポニータにはほとんどダメージを与えられませんでした。次のターン、ポニータはまた「しっぽをふる」を使ってきました。それは序盤に出てくるポケモンの行動そのものでした。

今度は「うたう」を使ってみました。画面では「うたう」のエフェクトが出ていますが、音が出ません。

「うたうは むこう」

私はただ、自分の画面を見つめていました。どうして「うたう」が使えなくなったのか、見当もつきませんでした。何やらおかしな仕掛けでもあったのでしょうか。

ポニータがもう一度「しっぽをふる」をくり出したところ、プクリンがすこし震えたような気がしました。スプライトが変わった説もありましたが、私は、きっとこのポケモンには不正があるのだろうと思いました。

私は、チートで作られたポケモンのために、あの素晴らしいワニノコを失ったことに腹を立てて、少し悪態をつきました。このポケモンがゲームをダメにしかねないので、「にげる」を選びました。しかし…

『DISABLEDが戦いたがっている。バトルから離れることができなかった。』

「ちょっと、いい加減にしてよ!」 と声を荒げたのを覚えています。このままではゲーム本体に支障をきたすと思ったからです。逃げようとしたターンにポニータが攻撃してくると思ったのですが、そうではありませんでした。そのポニータの小さな体は、毒を盛られたかのように震えていました。

『ポニータは恐怖で固まっている。おそらく攻撃してこないだろう。』

これは流石に奇妙すぎると思いました。私は再び「にげる」を選ぼうとしましたが、またしても奇妙なテキストが表示されました。

『DISABLEDが戦おうとしている。バトルから離れることはできない。』 この時、テキストが変わってることには気が付きませんでした...。("You couldn't leave the battle"から、"You cannot leave the battle"に。否定が強くなっています。)

まだ別の選択肢はまだ残っています。逃げることができなかったので、戦うことにしました。もう一回「めざめるパワー」を選択すると…

『めざめるパワーは むこう』

仕方がないので、他の技も試してみるしかありません。

「いばる」を試してみました。

『いばるは むこう』

いったいどうして、逃げられない上に技を出すことができないのだろう?このプクリンをくれた人は何をしたんだろう?そんな疑問が次から次へと頭の中に湧いてきました。「にげる」を押さなければ戦闘から離れられず、このポケモンを育てることだってできません。つまり、元の持ち主は戦闘から離れることができたはずです。電源を落とせばいいのは分かっていましたが、「私の」プクリンに何が起こったのか確かめたかったのです。

もはや選択肢は2つしかありません。「うたう」と「だいばくはつ」です。

「うたう」は一度使いましたが無効化されていたので、「だいばくはつ」を使うしかありませんでした。この技でポニータを倒してプクリンもきぜつ。戦闘終了。これはこれでいいのかもしれないと思いました。しかし…

『だいばくはつ は むこう』

反応する間もなく、さらにテキストが表示されたました。

「『DISABLEDの うたう うたうは むこう』

勝手に技を出していたのです。プクリンの姿は前より少し、しかし明らかに揺れが強くなっていました。

『ポニータは恐怖で固まっている。もはや戦いから逃げることすらできない。』

私は心臓がドキドキし始めたのを感じました。もしかしたら、ポニータもこのとき同じ感情だったのかもしれません。

『DISABLEDの うたう うたうは むこう』

『DISABLEDの うたう うたうは むこう』

『DISABLEDの うたう うたうは むこう』

『DISABLEDの うたう うたうは むこう DISABLEDの うたう うたうは むこう DISABLEDの うたう うたうは むこうDISABLEDの うたう うたうは むこう
DISABLEDの うたう うたうは むこう
DISABLEDの うたう うたうは むこう
DISABLEDの うたう うたうは むこう
DISABLEDの うたう うたうは むこう
DISABLEDの うたう うたうは むこう
DISABLEDの うたう うたうは むこう』

テキストが流れる度に、プクリンの姿はどんどん暗くなっていきました。

『DISABLEDの わるあがき』

私は、プクリンが他に使える技がないかのように悪あがきをするプクリンを恐れていました。ポニータにはほとんど当たらず、プクリンだけがどんどん傷ついていきました。

ポニータはついに戦いから逃げ出し、戦いは終了しました。正直私もポニータと一緒に逃げたいくらいでした。プクリンは私のパーティの先頭にいたので、画面の中で私と一緒に歩いていました。彼女の色は汚く、赤ずんでいました。私はキャラクターを回転させて、彼女に話しかけました。

「...」

何も言ってきません。私は、やっと手に入れたプクリンに何が起こっているのか、妙に必死になりながら、もう一度試してみました。

「...」

「私はただ、うたいたかっただけ…」

誰がしゃべっているのかよくわかりませんでした。音量設定が小さかったと思い、もう一度話しかけてみました。

「どうして...どうして...私は歌えないの?」

「ただ... 歌って...歌って...」

私が彼女に話しかけるたびに、その泣き声はまるでおもちゃが壊れていくようにどんどん柔らかくなりました。私はプクリンがかわいそうになり、ポケモンセンターで回復してもらうために街へ戻りました。それが、ゲームの電源を切る前にできるせめてものことだと思ったからです。

しかし、悲しいことにそれほど遠くに戻ることはできませんでした。またポニータに遭遇し、ポケモンバトルが始まってしまったのです。すぐに「にげる」を選択しましたが、前回と同様に

『DISABLEDが戦いたがっている。バトルから離れることはできません。』

となりました。

この戦いで起こったことに、誰も反応する暇はありませんでした。ポニータはなぜか動きが非常に遅く、すぐ立ち往生してしまいました。オプションメニューもなぜか出てきませんでした。

「DISABLEDの うたう うたううたううたううたううたうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう...」

ボックスからはみ出るほどのテキストがテキストボックスを覆いました。私はついに壊れてしまったと思いました。

『DISABLEDは だせるわざがない! DISABLEDの わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき
                         わるあがき』

わるあがきを使う度、プクリンはどんどんダメージを受けていきました。しかし、今回は野生のポニータもどんどん傷ついていきました。

「野生のポニータは逃げ出した」

戦いは終わったかに見えましたが、バトル画面は依然として表示されたままでした。もしかしたらまたプクリンが喋るかもしれない、AかBを押さなければと思い、ボタンを連打しました。

画面がフェードアウトして、進化画面に変わりました。当然、進化画面なので会話することはできません。その時私は、自分の心が沈んで、目が潤むのを感じました。そこにいたのは、かつては正常だったスプライトを色褪せさせたプクリンでした。左の耳はちぎれ、赤いピクセルがその先端を覆っています。疲れた目は真っ黒で、赤い点だけが瞳孔を表しています。口からも赤いものが出ていて、血が滴っているようでした。

「どうして… どうして私は歌えないの?なぜ?なぜなの?

「あなたは歌えるの?」

はい◀︎ いいえ

私は「いいえ」を選びました。ただ、はやく終わらせたかったのです。

「…嘘をつかないで。 あなたは...歌える。 歌ってみろ。

はい◀︎ いいえ

私は4、5回ほど「いいえ」を押しました。

歌え 歌え。ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう(ウuウウウuウウうuUuうウ((ううううウUウウウuウウウuううウ…

スピーカーが甲高い悲鳴を上げたので、私はすぐさま自分のDSを落とし、放り投げました。

部屋を飛び出し、友人を呼びました。それ以来、私はゲームには手を出せませんでした。パニックを隠せない私を見て、友達が来てくれました。彼女は私を笑ったが、私はゲームに触れないと言った。彼女は私に代わってゲームを手に取り、それを見て、首を振りながら電源を切り、閉じた。彼女は私にそれを返して、

「あなたが壊したんでしょ。」と私に言い、私の部屋を出てリビングに向かいました。

彼女はその日一晩中、私のそばにいてくれました。しかし私は最後のプクリンの様子が頭から離れませんでした。

翌朝、私は隣に座っていた友人と一緒に、プクリンを交換に出しました。プクリンと引き換えにヒノアラシを提供してくれる人を見つけました。私は、早くしてほしいと思いながら、思いっきりボタンを押した。取引は成立しました。

そのヒノアラシは今でも持っています。そのヒノアラシを飼っていた人は、そのヒノアラシに「Hurry」と名付けていました。

注釈[]

  • 「Disabled」は、日本語で「無効の 無機能な」という意味です。
  • 「ポケットモンスター ハートゴールド•ソウルシルバー」の発売日は、2009年9月12日です。
  • 作中に登場する「大乱闘」は、「大乱闘スマッシュブラザーズX」(2008年1月31日発売)と思われます。
    • 「皆がプリンを嫌っていても私は好き」という記述は、本作においてプリンが最弱キャラの扱いを受けていたからと思われます。
  • 物語の最後、主人公のDISABLEDと交換でやってきた「Hurry」という名前のヒノアラシは、他のポケモンを題材にしたCreepypastaである、「Lost Silver」に登場するヒノアラシと名前が同じです。
    • Lost SilverもDISABLEDも作者が不明なため、物語が繋がっているかも不明です。

ポケモン用語の英語[]

  • 原文からの日本語訳は以下のとおりです。

ポケモン[]

Jigglypuff→プリン
Wigglytuff→プクリン
Puff/Tuff→プリン/プクリンの略
Totodile→ヒノアラシ
Ponyta→ポニータ
Cyndaquil→ヒノアラシ

わざ[]

Sing→うたう
Hidden Power→めざめるパワー
Swagger→いばる
Explosion→だいばくはつ
Tail Whip→しっぽをふる
Struggled→わるあがき